OKPのノート

日記を書きます

全く容認できない、それなのに魅力的【note】

(2020/02/06のnoteより転記)
気軽なテキスト書きの場としてスタートさせていきなりそれかよ…… というのもありますが、頭の整理的に。Twitterでも書いたことと同じです。

昨日より騒ぎになっているFUJIFILM X100Vのプロモーション動画について。
https://news.yahoo.co.jp/byline/shinoharashuji/20200205-00161880/

個人的にあのような写真の撮り方は全く容認できないし、実際に自分がされたらと想像すると相当腹立たしい。頭に血が上って暴力的な行動に出てしまうかもしれないし、実際はビビって何もできない可能性が高いけど。
間違いなくプロモーション目的にはそぐわないし、何より見せる必要のない映像だったと思います。

しかし、そんな写真家の作品を見て魅力的と感じてしまう自分がいます。

明らかに戸惑いや怒りを見せている人の表情。ストリートスナップ、キャンディッドフォトというジャンルの中でも相当に過激な撮り方だし、今では(恐らく過去も)社会通念上許されない行動で撮られたものだけど、そこから吐き出された写真に惹き付けられてしまう自分の心は、理性とは異なる反応をしているようです。
(ちなみにここまで過激ではない、それっぽい雰囲気のキャンディッドフォトがTwitterに流れてくると「盗撮乙」とそっとミュートするタイプの私です。それなのに何故……?)

それにしてもあんな過激で、危険で(撮る側も)、そして傍迷惑なスタイルについて写真家本人が「なんでこんな撮り方をしなきゃいけないのか分からない……」的なことを動画内で語っていたことが、妙に印象的でした。表現への執念というか、業の深さというか。

そして、そんな炎上間違いなしの映像をなぜフジフィルムがプロモーション動画に採用したのか、理解に苦しみます。あれは見せるべきではないシーンだと思ったし、仮に何かしらの問題提起を含むものだったとしたら、公開から1時間程度で梯子を外すように削除するのはあまりに覚悟がない。そもそも新製品のプロモーションで、そんな攻めた問題提起をする必要は全くないとも思うけど……。おっと、話がループしてる?

今回の炎上によってストリートスナップに対する、世間の風当たりは悪い方向に(見方によっては良い方向?)に進むことになりそうです。個人的にはキャンディッドフォトの類は益々衰退していく文化だと考えていますが、不用意にその潮流に手を貸してしまったように感じます。しかも写真文化や写真家を守るべきカメラメーカーが……。

場合によってはこれまではさほど問題視されてなかった、意図的でない写り込みや群衆写真についても今後より問題視する声が上がらないとも限りませんし、私自身も自分の写真の撮り方について見直す必要が出てくるのかもしれません。線引きなんてとても曖昧なものですから。

時代の姿を切り取って後世に残す手段は別に写真表現に限りませんし、世の中がそう動くならば仕方がないことだと思うものの、もう少し緩やかな動きの中で写真を撮っていたかったように感じます。無責任なこと言ってるな…… と我ながら思いますけど。